EV/EBITDA倍率とは① お知らせ
EV/EBITDA倍率とは①
M&Aが行われる際には、企業価値評価がなされることが多いです。
企業価値評価には様々な方法があります。その方法の一つがEV/EBITDA倍率の算出です。
買収価格を検討する際の、一つの指標として活用することができます。
EV/EBITDA倍率とは
EVに関して
EV(Enterprise Value エンタープライズ バリュー)とは、事業そのものの価値です。
売り手企業のビジネスから得られる価値全体を指す指標で、株式の価値と純負債の価値の合計から算出します。
EV = 株式時価総額 + 有利子負債 - 現金及び現金同等物 + 非支配株主持分
(非支配株主持分は、かつての「少数株主持分」のことで、企業の連結会計においてある子会社の自己資本のうち、親会社が所有していない非支配株主の持分の事です。)
売り手企業の事業価値を算出する際、株式の価値だけでなく、負債の価値も考慮します。
ただし、現金および現金同等物については、そのまま(あるいは換金して)負債の返済に回せるので、その分は負債の額から差し引いた額を計算します。
EBITDAに関して
EBITDA(Earnings Before Interest, Tax, Depreciation, and Amortization)とは、事業が資金を生み出す力(収益力)です。
EBITDAの読み方として、「イービットディーエー」「イービットダー」「イービッダー」「エビーダ」などがあります。
翻訳すると「企業の利益から、利息(Interrest)・税金(Tax)・有形固定資産にかかる減価償却費(Depreciation)・無形固定資産にかかる減価償却費(Amortization)を差し引く前の金額」
ということになり、利払い・税引き・償却前利益となります。
EBITDAとは、税引き前利益に支払い利息と固定資産の減価償却費を加えたものです。
EBITDAの算出は、売り手企業の収益力を知るために行うので、事業活動そのものの収益や支出でないものは差し引いたり加算したりします。
減価償却費は会計上の名目としての費用であり、実際に資金が使われたわけではありませんので、加算しておきます。
EBITDAは下記の計算式で計算されることが比較的多いです。
<EBITDA= 税引前当期純利益(固定資産の売却など臨時に発生する損益も差し引いた利益)+支払利息+減価償却費>
ただし、EBITDAにはいくつかの計算方法が存在します。
そのため、EBITDAが指標としてすでに表示されている時には、どのような方法が使われたのかを把握しておきましょう。
その他の計算方法としては「営業利益+減価償却費」や「経常利益+支払利息+減価償却費」をEBITDAとするケースもあります。
営業利益とは、売上から仕入原価と必要経費を差し引いた利益です。営業利益は、支払利息など本業以外の損益を差し引く前の金額なので、
減価償却費を加えることで売り手企業の収益力を知ることが可能です。
一方で経常利益とは、本業以外の損益を差し引いた利益なので、支払利息と減価償却費の両方を足す必要があります。
EBITDAの計算で利用する営業利益・経常利益・税引前当期純利益は、決算書に記載されています。
EV/EBITDA倍率の算出
そしてEV/EBITDA倍率は、EVとEBITDAの値を用いて
EV/EBITDA倍率 = EV ÷ EBITDAの式により算出します。
例えば、EV(事業価値)が60億円、EBITDA(収益力)が10億円と算出された場合
EV/EBITDA倍率は、60億円 ÷ 10億円で、6倍だと算出されます。